学部長あいさつ
「看護医療という翼を得て、激動の時代を羽ばたく人に」

慶應義塾大学看護医療学部長
永田 智子
    慶應義塾における看護学教育は、初代医学部長であった北里柴三郎博士が、医療における看護の重要性を評価し、医学教育開始の翌年となる1918年に看護婦養成所を設置したことから始まります。その後、厚生女子学院、慶應義塾看護短期大学と改組され、2001年に看護医療学部が義塾の9番目の学部として誕生しました。2026年には、看護医療学部開設から25周年、四半世紀の節目を迎えることになります。
    看護学は、人々の「Life」、すなわち生命・生活・人生を対象とした、実践の科学であり、生命や疾病のメカニズムの理解、治癒・回復や心身の苦痛の軽減に向けた働きかけ、生活の質の向上に向けた支援、人々の健康や暮らしの維持・改善に寄与する社会システムの構築といった、ミクロからマクロまでの幅広い観点から、人々がその人らしい人生を全うできることを目指した探求を行います。学生の皆さんには、命を大切にすること、多様な価値観を尊重することを基盤とし、豊かな感性と人間性を涵養するとともに、看護学に関する専門的な力を育んでいってほしいと願っています。
    気候変動や世界的な社会経済情勢の変化、日本における人口減少と少子高齢化、通信技術・人工知能・ロボット・ゲノム医療などの格段の進歩などにより、健康に関する課題もそれに対する対応策も刻々と変化し、併せて倫理観を問われる場面も増えています。こうした激動の時代を生き抜くうえで、看護医療という学問を学ぶことは大きな力になると確信しています。学生の皆さんには、療養者を含む人々とのコミュニケーションやパートナーシップ、様々な領域の専門職との連携・協働、国際的な視野の育成に取り組むとともに、医療や社会の現状から問題を発見し、解決に向けて動き出す先導者として羽ばたくことを期待しています。
    看護医療学部生は、湘南藤沢キャンパスと信濃町キャンパスで学びます。学生の皆さんには、総合大学の強みを活かし、豊かな大学生活を送ってもらいたいと思います。医療系3学部合同教育や、学部独自の海外研修科目および海外から看護学生を招いて行う短期留学受入れプログラムといった特徴的なプログラムに加え、国内外の学生間交流の機会が多く、奨学金制度も充実しています。必修科目が多い学部ですが、他学部の科目を履修する学生も多く、またサークル活動も大変活発です。様々なチャンスとリソースを活用し、新しいことにチャレンジし、「人間交際」すなわち幅広い人々との交流を深めてください。自分自身を大切にしながら、大学生活を主体的に過ごすなかで、自分らしさを知り、これからの人生を歩む中での核となるものを見つけることができればと思います。看護医療学部教職員一同、心の底から皆さんを歓迎し、また力を尽くして応援しています。

